2022.11.11 公的保険

公的年金保険③-厚生年金保険

公的年金保険③-厚生年金保険

こんにちは、UCnote担当です。

公的保険は国が主体の保険です。それを補完するのが民間の保険とのことです。

今回は公的保険の中の、厚生年金保険を書いていきたいと思います。なお概要、国民年金保険、厚生年金保険の3回に分けて書いています。


■厚生年金保険

※詳細は省いていることがありますので、下記日本年金機構HPをご覧いただくか、お問合せいただくことをお勧めします。

▼適用事業所

事業所単位で適用されます。強制と任意と特定の3種類があります。

・強制適用事業所 法人の事業所です。また個人の事業所でも、従業員が常時5名以上いる場合などに適用されます。
・任意適用事業所 強制でない場合でも、従業員の半数以上が同意し厚生労働大臣の認可を得ることで適用事業所になることができます。
・特定適用事業所 事業主が同一(法人番号が同一等)の(強制)適用事業所で、被保険者(短時間労働者を除く)の総数が常時100人を超える事業所(令和4年10月から100人になりました。それまでは500人です。さらに令和6年10月から50人に変更予定です。)

▼被保険者

適用事業所の事業主による加入手続きが必要です。

70歳未満の代表者、役員、正社員をはじめ、条件を満たしたパート・アルバイト等の短時間労働者も対象になります。

・短時間労働者の加入条件 1.または2.に該当する短時間労働者
1.一週間の所定労働時間および一か月の所定労働日数が正社員の3/4以上である。
2.特定適用事業所に勤務し、以下4つの要件に該当する場合
-週の所定労働時間が20時間以上であること
-雇用期間が2カ月以上見込まれること
-賃金の月額が88,000円以上であること
-学生でないこと

▼保障内容

受け取るには届け出が必要です。自動では支給されません。

・老齢厚生年金 次の3つに該当する場合に老齢基礎年金(国民年金保険)とは別に支給されます。
1.65歳以上(60歳からの繰上げ受給や、66歳以降の繰下げ受給も可能)
2.厚生年金の被保険者期間が1月以上ある。
3.老齢基礎年金を受けるために必要な資格期間がある。

また申請することで年金上乗支給される場合があります。加給年金と呼ばれており、以下条件です。
1.被保険者が厚生年金に20年以上加入している
2.被保険者の年齢が65歳以上
3.被保険者に生計を維持されている配偶者や子がある
4.配偶者は、老齢厚生年金(加入期間20年以上)または障害厚生年金を受け取る権利がない。
5.配偶者は、65歳未満。
6子は、18歳未満

・障害厚生年金
厚生年金保険に加入している間に、初診日がある病気やけがにより障害の状態にあるとき、その状態に応じて支給されます。
障害等級1-3級(基礎年金は1-2級。1-2級の場合は併せて支給されます。)
障害等級3級より軽い障害 傷害手当金

・遺族厚生年金
厚生年金保険に加入中の方が亡くなったとき、その方によって生計を維持されていた遺族に遺族厚生年金が支払われます。
遺族の順 配偶者または子→父母→孫→祖父母

▼保険料

毎月の給与(標準報酬月額)と賞与(標準賞与額)に共通の保険料率をかけて計算され、事業主と被保険者とが折半します。
・保険料率
段階的に引き上げられていましたが、現在は保険料率は18.3%で固定されています。
個々の負担=(標準報酬月額または標準賞与額×18.3)/2
・標準報酬月額
標準報酬月額は、一定の幅で分けられた報酬月額に、自身の給与(基本給のほか残業手当や通勤手当などを含めた税引き前の給与)を当てはめて決定したものです。標準報酬月額を用いて保険料や年金額を計算します。標準報酬月額は1等級(8万8千円)から32等級(65万円)までの32等級に分かれています。 また標準報酬月額の対象となる報酬は、基本給のほか、能率給、奨励給や役付手当、職階手当、特別勤務手当、家族手当、休職手当、通勤手当、住宅手当、早出残業手当、継続支給する見舞金等、事業所から現金又は現物で支給されるものが含まれます。なお、年4回以上支給される賞与についても標準報酬月額の対象となる報酬に含まれます。
・標準賞与額
標準賞与額は、税引き前の賞与の額から1千円未満の端数を切り捨てたものです。支給1回(同じ月に2回以上支給されたときは合算)につき150万円が上限となります。なお150万円を超えるときは150万円とされます。 標準賞与額の対象となるのは、賞与(役員賞与を含む)、ボーナス、期末手当、年末手当、夏(冬)季手当、繁忙手当、年末一時金等、年3回以下の回数で支給されるもの、及びその他定期的でなくても一時的に支給されるものを指します。また自社製品等の現物で支給されるものも含みます。なお、年4回以上支給される賞与については、標準報酬月額の対象となります。

▼保険料免除・猶予

免除は以下のケースです。
1.産前産後休業期間中
2.育児休業等期間中

猶予は以下のケースです。
1.災害により財産に相当な損失を受けた場合の納付の猶予(災害による納付の猶予)
2.災害等を受けたことにより納付困難となった場合の納付の猶予(通常の納付の猶予)
3.厚生年金保険法第27条等による届出が遅延したことによる遡及した月分に係る保険料に関する納付の猶予(届出が遅延したことによる納付の猶予)

いずれも事業主による申請が必要です。


■まとめ

・保険料は、標準報酬月額×18.3%を事業主と折半する。
・老齢厚生年金、障害厚生年金、遺族厚生年金がある。


■参考

▼日本年金機構

適用事業所と被保険者

https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/jigyosho/20150518.html

短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大

https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/jigyosho/tanjikan.html

厚生年金保険の保険料

https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/hoshu/20150515-01.html

老齢厚生年金の受給要件

https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/jukyu-yoken/20140421-01.html

厚生年金保険料等の免除

https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/menjo/20140122-01.html

厚生年金保険料等の猶予

https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/nofu/20120330-02.html

標準報酬月額表pdf