2024.10.25 経営者の方へ

廃業という難しい選択に立ち向かうために

廃業という難しい選択に立ち向かうために

こんにちは、ユナイトnote編集部です。

 中小企業の経営者にとって、廃業の決断は避けたいものですが、時には避けられない選択となることもあります。本記事では、中小企業が廃業する際に発生する費用や、経営者が直面するリスク、そして事前に取れる対策について取り上げます。コストやリスクを確認したうえで、円滑な事業終了を目指しましょう。


1. 廃業にかかる主な費用

 廃業には、単に事業を終了するだけでなく、解散手続きや清算のためのさまざまな費用が発生します。ここでは、廃業時に想定される主な費用についてまとめます。

(1) 法的手続きの費用

  • 解散総会の実施に伴う手続き

  • 解散登記清算結了登記に必要な登録免許税(各3万円)

  • 官報公告のための費用(公告料:約3万円)

  • 専門家への報酬(税理士・弁護士・司法書士などに数十万円)

(2) 従業員への対応費用

  • 退職金の支払い(就業規則に基づくもの)

  • 解雇の場合の解雇予告手当(30日未満の予告期間の場合に必要)

  • 未払いの給与や未消化の有給休暇の買い取り費用

(3) 借入金や未払い金の返済

  • 金融機関からの借入金(経営者が個人保証している場合、会社の廃業後も返済義務が残ります)

  • 取引先への未払い金の精算(契約不履行がないよう事前に確認が必要)

(4) 資産の整理・処分費用

  • 在庫や機械設備の処分コスト

  • 不動産・車両の売却手数料や、売却できない場合の廃棄費用

(5) 税務手続き

  • 法人税・消費税の最終申告と納税

  • 税務申告は事業終了後も必要になるため、税理士への相談が推奨されます。


2. 廃業に伴う経営者のリスク

 廃業の決断には、多くのリスクが伴います。これらのリスクを理解し、適切な対策を講じることが、経営者の将来を守るために重要です。

(1) 個人保証のリスク

  • 中小企業の借入金では、経営者が個人保証を求められることがまだまだあります。会社を清算しても、借入金の残債務については経営者が個人として返済を続ける必要があります。

(2) 取引先・社員とのトラブル

  • 取引先からの損害賠償請求や、契約不履行によるトラブルの可能性があります。

  • 急な廃業は、従業員から不当解雇として訴えられるリスクもあるため、十分な予告期間が必要です。

(3) 税金や社会保険料の未納リスク

  • 未払いの税金や社会保険料がある場合、経営者がその支払いを求められるケースもあります。会社の負債状況を正確に把握しておくことが必要です。

(4) 名誉と信頼の失墜

  • 廃業の仕方によっては、地域社会や取引先、従業員からの信用を失うリスクがあります。将来の再起に影響を与える可能性もあるため、誠実な対応を心がけることが無難です。


3. 廃業リスクへの備え

 廃業リスクを最小限に抑えるためには、事前の計画と専門家との連携が欠かせません。以下のような対策を検討することで、スムーズな事業終了を実現できます。

(1) 廃業計画の策定

  • 廃業に必要な費用を見積もり、資金を計画的に準備します。

  • 税理士・弁護士と相談し、手続きやトラブルの予防策を講じます。

(2) 事業承継やM&Aの活用

  • 後継者を探し、事業承継を検討することも一つの選択肢です。

  • M&Aによる事業譲渡は、従業員の雇用維持や負債軽減に有効です。

(3) 法人保険の活用

  • 経営者の退職金や借入金の返済に備え、法人保険を活用することができます。

  • 逆に取引先が廃業してしまう時に、契約不履行などが起こらないとも限りません。損害保険や経営セーフティ共済なども利用できます。


4. まとめ

 中小企業の廃業には、費用リスクが伴いますが、適切な準備をすることで負担を減らし、次の一歩を踏み出しやすくなります。廃業の決断は困難なものですが、専門家との相談計画的な資金準備を通じて、トラブルを最小限に抑えこみましょう。

 廃業は新たなスタートの一歩でもあります。冷静かつ誠実な対応を心がけ、未来への準備をしていただければと思います。

お忙しい中、最後までお読みいただきありがとうございました。
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