世帯の薬代を確定申告することで所得税が還付される、セルフメディケーション税制。

こんにちは、UCnote担当です。
我が家にも、保険やiDeCoの年末調整の用紙が届きました。そろそろ年末調整、さらには確定申告も近づいてきたなぁ、と思います。せっかくなら還付金を多く受けたいと思うのが人情です。そこで今回はセルフメディケーション税制を取り上げます。
■セルフメディケーション税制とは何ですか?
セルフメディケーション税制は、医療費控除の特例です。
医療費控除は、医療費全般が対象ですが、セルフメディケーション税制では、所定の薬代のみが対象となります。 申請する場合には、年末調整では申請できず、(年末調整後に)ご自身で確定申告をして申請します。
医療費の削減を目指して、2017年に開始されました。当初5年間の予定でしたが、2022年に延長され、2026年まで利用できる予定だそうです。
■申請の条件はどのようなものでしょうか。
申請には以下のような条件があります。
・世帯で対象医薬品を12000円以上購入していること。
・確定申告申請者が、健康の保持増進及び疾病の予防に関する一定の取組を行っていること。
・申請する年の医療費控除を受けていないこと。
▼世帯で対象医薬品を12000円以上購入していること。
セルフメディケーション税制は、特定の薬の購入代金を、所得から引けるという税制です。所得控除であり、税額控除ではありませんので、対象の金額がそのまま還付されるというわけではありません。
また購入代金がすべて引けるわけではなく、以下の計算で所得控除額が1円以上であることが必要です。
購入代金-12000円=所得控除額(最大88000円)
例えば、20000円購入していれば、8000円を所得から引くことができます。(20000-12000=8000) ただし、110000円購入していても、所得から引けるのは88000円です。(110000-12000=98000ですが、最大は88000円)
購入代金は個人ではなく世帯で合計することができます。夫婦二人合わせて12000円を超えていれば、夫婦いずれかの確定申告で申請することができます。
▼健康の保持増進及び疾病の予防に関する一定の取組を行っていること。
確定申告の申請者が以下のような取り組みをしていることが必要です。(薬の購入者ではありません。)
・保険者(健康保険組合等)が実施する健康診査【人間ドック、各種健(検)診等】
・市区町村が健康増進事業として行う健康診査
・予防接種【定期接種、インフルエンザワクチンの予防接種】
・勤務先で実施する定期健康診断【事業主検診】
・特定健康診査(いわゆるメタボ検診)、特定保健指導
・市区町村が健康増進事業として実施するがん検診
なお、これらの取組のための費用はセルフメディケーション税制では対象になりません。
▼申請する年の医療費控除を受けていないこと。
同じ年に医療費控除と併せて申請することはできません。 ただし、治療目的の場合であれば、セルフメディケーション税制対象の薬の購入費用を、医療費控除に含めることができます。
■申請はどのような方法があるのでしょうか。
セルフメディケーション税制を適用した確定申告書とセルフメディケーション税制の申請書を提出します。
申請書は、「国税庁 確定申告書等作成コーナー」で入力しても、ご自身で作成しても良いようです。 ただ同等の内容の記載が必要なので、少なくとも初めての時は作成コーナーでの作成を個人的にはお勧めします。
レシートや領収書は提出不要ですが、税務署に確認されることもあるので、5年間は保管が必要とのことです。
■対象の薬にはどのようなものがあるのでしょうか。
対象の薬は6000ほどあるようです。
2022年に延長が決定した際に、対象の薬の入れ替えもされています。もともとはスイッチOTC医薬品のみが対象だったようですが、スイッチOTC医薬品以外の薬も対象に追加されました。 スイッチOTC医薬品とは、医師の処方箋が必要だったものを、病院に行かずに一般に購入できるようにした薬だそうです。(OTC=Over The Counter)
対象商品の一覧は、セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)について|厚生労働省 (mhlw.go.jp)にPDFやExcelでご覧いただけます。 セルフメディケーション税制の見直しについての3ページに商品の写真があるので参考になるかもしれません。 対象商品の場合、レシートに★や◆などの印がついていますので、確認いただけます。また一部の商品には、以下のようなロゴがついているようです。
■まとめ
セルフメディケーション税制を取り上げました。まとめます。
・世帯での所定の薬代が12000円以上の場合に所得控除できます。
・確定申告が必要で、申告者は健康診断などを受けている必要があります。
・医療費控除とは同時に申請はできません。
所得控除のため、所得金額によって還付金額は変わります。 8000円が所得控除されても、所得税率が20%なら1600円、40%なら3200円です。 手間がかかることを考えると、申請するかは悩ましくも思います。 しかしこうした一見細かいことを積み重ねるかどうかが、違いを生むのかもしれません。 特に確定申告をする必要がある場合や、税理士に任せる場合は積極的に利用しても良いかもしれないと思いました。
ただ、セルフメディケーション税制対象の商品を選んでおくことで、税制を有利に利用することにつながるかもしれませんけれども、薬ですのでご自身の体に合うことを第一にされることをお勧めします。
お忙しい中、最後までお読みいただきありがとうございました。制度を知って、活用していきましょう。
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■参考
▼厚生労働省
セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)について|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
セルフメディケーション税制の見直しについて000732423.pdf (mhlw.go.jp)