2022.10.04 保険知識

外貨建て保険、ざっくりまとめてみました。

外貨建て保険、ざっくりまとめてみました。

こんにちは、UCnote担当です。
この内容は2022年3月18日にnoteに投稿した記事を加筆訂正したものです。

保険には円建てと外貨建てがあります。
外貨建ては苦情が多い、ということで新聞や雑誌でも時折話題になっています。
保険業界も対策をしており、試験制度を導入しています。
2022年4月からは試験合格者しか販売できない保険になっています。

先にまとめると、

・外貨建て(今回は米国ドル建て(以下ドル))の保険においては、保険料は円→ドルに換え、受取時はドル→円にします。
・円高ドル安の時は、円での保険料は少なくなり、保険金や解約返戻金の受取時にも円での受取額は少なくなります。
・一方、円安ドル高の時は、円での保険料は多くなり、保険金や解約返戻金の受取時にも円での受取額は多くなります。
・理想は、円で支払う時はなるべく円高で、円で受け取る時は円安になっていることです。
・預貯金ではありませんので、払ったお金がそのまま戻せるわけではありません。

それでは本文を進めます。
ポイントは以下の3つです。
1.外貨建保険の方が円建保険(通常の保険)より運用に有利な現状があります。
2.為替レートによって保険料や保険金が変動します。
3.保険は保険であって決して貯金ではありません。


1.外貨建保険の方が円建保険(通常の保険)より運用に有利な現状があります。

▼外貨建生命保険とはどういうものか?

運用を外国債券で行う生命保険のことです。

通常、保険会社は預かった保険料をなるべく確実に安定して増やそうとしています。
増やす手法として債券が利用されています。
通常の保険では日本国債が利用されますが、外貨建保険では外国債券が利用されます。

▼外貨建生命保険を使う理由

理由は2つです。
1.増やせる
2.リスクの分散

1.お金をより増やせる可能性があるためです。
増減は保険料や解約返戻金の金額に反映されます。

国債とは、国が債券保有者に借金をしていることです。
借金をした場合、利子をつけて返さなければなりません。
現在の日本は低金利です。
借りた側が支払う利子は少額で済みます。
逆に貸した側が受け取る利息も少額になります。
(利息と利子は同じものです。お金を借りた時の利用料です。
慣習的には、受け取り側は利息、払う側は利子、と呼ぶことが多いようなのでこちらを採用します。)
アメリカなどは、日本と比べて金利が高い現状があります。
利息を多く得られる外国債券を使った保険=外貨建保険です。

2.リスク分散になります。

円だけですと、円の価値の変化によって資産が変動します。円の価値が減ると実質的に資産が減ることになります。ドルに換えておくことで、円が下がってもドルが上がれば、差引で+になったり-だとしても-を減らせる可能性があります。(円だけを持つよりも、円とドルを保有する方が-が膨らむこともありえます。その場合はドルだけを持つよりは-が減らせると考えられます。)

2.為替レートによって保険料や保険金が変動する。

▼外国債券と外貨の関係は?

基本的に債券の購入はその国の通貨で行います。
通貨を交換する時には為替レートに合わせて交換します。

▼為替レートとは?

為替レートとはお金の値段です。

個人的にはお金で考えると混乱するのでモノで考えます。そうではない人にはものすごい婉曲的になると思いますので飛ばしてください。
さて、いったんハンバーガーの値段で考えます。

私の所持金は1,000円です。出来るだけ多くのハンバーガーを買おうとしています。

① 1ハンバーガー=100円の時
1,000円で10個のハンバーガーが買えます。
いつもこれなら良いのですが、ハンバーガーの値段は時代によって変わりますね。

② なんとハンバーガーが200円に値上がりしました!
1ハンバーガー=200円
1,000円で5個のハンバーガーしか買えませんでした。
①の時に比べて、ハンバーガーの値段が高くなり(価値が上がり)1000円で購入できる個数が減った(円の価値が低くなった)状態です。

③ 今度は1ハンバーガーが50円に値下がりしました!!
1ハンバーガー=50円
1,000円で20個ものハンバーガーが買えます。
①の時に比べて、ハンバーガーの値段が安くなり(価値が下がり)1000円で購入できる個数が増えた(円の価値が高くなった)状態です。

このハンバーガーを「米ドル」に変換して読んだものが米ドル円為替レートです。
②の場合は、円安ドル高
③の場合は、円高ドル安
と呼ばれます。

 

▼安い時に買うにはどうすればよいのでしょうか?

誰もがそう思いますが、短期でこれを予測することは不可能だと考えられています。それでも予測はされています。(中長期ならある程度予測できるという声も聞こえますが、私の能力を超えたお話です。)
予測は不可能と考えた場合には、為替レートを平準化するという方法がとられることがあります。買うタイミングを一定にして、最高値でも最安値でもない平均で購入しようという方法です。
保険はこの方法に合致します。

以下説明ですので、不要な場合は飛ばしてください。

・為替の平準化
今年は12ドル買おうと決めたとします。

為替は以下のように変動しました。
1月  1ドル=100円
2月  1ドル=80円
3月  1ドル=120円
4月  1ドル=150円
5月  1ドル=90円
6月  1ドル=100円
7月  1ドル=110円
8月  1ドル=80円
9月  1ドル=70円
10月  1ドル=100円
11月  1ドル=90円
12月  1ドル=80円

① もし1月に12ドル一気に買ったとします。
その場合1200円必要です。
1ドルの平均価格は100円です。
② 今度は毎月1ドルずつに分けて買ったとします。
12カ月で1070円必要でした。
1ドルの平均価格は約89.16円です。

一度に買う時よりも少ない円で同じ12ドル買えました。

ただし、分けて買えば必ず安くなるわけではありません。
80円の時に一度に買えば、960円で済みます。
分けると高くなります。

ただ値段の変動がどうなるかは読めません。
また円高円安も基準の金額というものはありません。平均で買えば、大きな得は出来ない分、大きな損もしにくくなります。
このようにしてリスク(増減の変動が読めないこと)をコントロールします。

保険では、月ごと・半年ごと・年ごと・一時払いなど、支払回数が選択できることがあります。
支払回数が細かくなるほど、より平準化されると考えられます。

▼保険金や解約返戻金をもらう時はどうなるのか?

円でもらう場合は、その時の為替レートによって変動します。

保険料支払い時とは逆で、円高だと交換できる円が少なくなります。
そのため、受け取るタイミングが選べるものだとリスクを避けやすくなります。
他に受け取り時の為替を平準化するために年金受取も考えられます。
また外貨のまま受け取れる商品もあります。その場合には、受け取り時の為替変動のリスクはありません。(手数料等はかかるかもしれません。)
すでに外貨の口座をお持ちであったり、将来お子様の留学を検討されていたりする場合には利用できるかもしれません。

3.保険は保険であって決して貯金ではありません。

苦情の原因の一つがここにあるようです。
確かに保険には貯蓄性のあるものがあります。
支払った保険料を超えて戻ってくるものもあります。
その場合に必要になるのは、時間や運です。
預貯金のように、入れた分がいつでもそのまま手に入るものではありません。
「増減するもの」
という点は押さえておく必要があります。

また保険という機能にはコストがかかります。
外貨建て保険は、ざっくりFX+預貯金+保険と考えられます。FXや預貯金単体とは別に、保険分のコストもかかっているということは考慮してよいのではないかと思います。


■まとめ

他にも市場価格調整などもありますが、ひとまずここまでです。
外貨建保険は、円建ての保険とは異なり、金額(支払いも受取も)が変動します。
変動がダメなのではなく、状況と使い方次第だと思われます。
大まかでもメリット・デメリットを知った上で、要不要を考える一助になればうれしいです。