2025.07.18 保険知識

倒れてからの日常──脳卒中と“その後の生活”

倒れてからの日常──脳卒中と“その後の生活”

こんにちは、毎年「脂質異常症」と診断され、そろそろ“異常”じゃなくて“仕様”では?と開き直り始めたユナイトnote編集部です。

異常症って強烈ですよね。血液中の脂質の量には自信がありますと言い換えてみようか。

さて、今回は、そんな脂質異常症も関わるとされる「脳卒中」について取り上げます。

慌てず冷静に見ていきましょう。

 

■ 脳卒中とは?──脳の血管に起こる“突然のトラブル”

脳卒中とは、脳の血管に起こる急性の障害の総称です。

「脳血管疾患」とほぼ同じ意味で使われることもありますが、脳卒中は急性期に限定されることが多いようです。

主な3タイプは以下の通りです:

脳梗塞:脳の血管が詰まる

脳出血:脳の血管が破れて出血する

くも膜下出血:脳の表面にあるくも膜下腔で出血(多くは動脈瘤の破裂が原因)

どれも、聞くだけで体がこわばるような名前です。

 

■ 致死率と死亡数──意外にも「即死ではない」?

「倒れたら終わり」というイメージのある脳卒中ですが、データを見ると少し違った側面が見えてきます。

致死率(急性期)

脳梗塞:約10〜15%

脳出血:約20〜40%(重症は50%超)

くも膜下出血:約30〜50%

年間死亡数(日本)

脳梗塞:約43,000人

脳出血:約22,000人

くも膜下出血:約9,000人

致死率を下げるカギは、異変にすぐ気づくこと。

以下のような症状は要注意です:

顔の片側がゆがむ

手足に力が入らない

ろれつが回らない

言葉が出てこない・理解できない

※「政治家の言っていることが理解できない」はおそらく多くの人に共通の症状なのでご安心を。

致死率で比較すると

くも膜下出血 > 脳出血 > 脳梗塞 という順。

「もっと亡くなると思っていた」という方もいるかもしれませんが、生き残った後の生活の支援こそが重要な病気だとも言えます。

 

■ 脳卒中の後遺症──“命は助かったけど”の現実

脳卒中の恐ろしさは、生存後に残る後遺症の多さと重さにあります。

代表的な後遺症:

運動障害:マヒ、歩行困難など

高次脳機能障害:記憶力・判断力の低下

失語・構音障害:話す、聞く、読む、書く能力の一部が失われる

感覚障害:しびれ、知覚異常

視野障害:見えない範囲が生じる

排泄障害:尿失禁など

症状の程度によっては、身体障害者手帳や障害年金の対象になる場合もあります。

「命は助かったけれど、以前のようには働けない──」

そんな現実があるのが、脳卒中です。

 

■ 再発リスク──「もう一度」は想像以上に多い

脳卒中は、再発率が高い病気でもあります。

5年以内の再発率:約30%

(参考)心筋梗塞:約10%

再発リスクを高める要因:

高血圧

糖尿病

脂質異常症(!)

喫煙・飲酒

言い換えると、生活習慣との関係が深い病気でもあるということです。

 

■ 就業への影響──“いつもの仕事”ができなくなる

脳卒中がもたらすのは、医療的な影響だけではありません。仕事への影響も深刻です。

肉体労働系:片麻痺や体力低下により復職が難しいケースも

ホワイトカラー系:高次脳機能障害・失語などにより、業務遂行に支障が出ることも

再発リスクへの配慮:ストレスや長時間労働を避ける必要がある場合も

復職率は調査によって異なりますが、40〜60%程度とされることが多いようです。半数が戻れていません。

「治った=元の仕事に戻れる」わけではない現実も、受け入れなければならないのです。

 

■ 保険と制度──“もしもの備え”は多層で考える

脳卒中の影響は長期に及ぶため、保険や公的制度による備えが重要です。

【民間保険の備え】

医療保険・特定疾病(三大疾病)保険

後遺症があれば介護保険・就業不能保険の対象になることも

【公的制度の活用】

健康保険(治療費)・高額療養費制度

障害年金・介護保険(要介護認定)など

「治療が終わったら、それで終わり」ではありません。

その後の生活をどう支えるかが、制度選びの重要な視点です。

 

■ まとめ

今回、脳卒中について網羅的に取り上げました。

正直、致死率は私のイメージよりやや低めでした。

ただし、生存後に残る後遺症の深刻さを改めて実感し、背筋が伸びる思いです。

生活・仕事・収入──支えるべきものが多いからこそ、備えは制度だけでなく、周囲の理解や職場の配慮も含めて必要です。

「突然倒れる」は、もはや他人事ではありません。

少しずつでも、自分ごととして備えを始めていきましょう。

お忙しい中、最後までお読みいただきありがとうございました。

※注意点

記事内容の正誤に関わらず、読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。

より正確な内容を知りたい場合は「■参考」などをご覧いただければと思います。

本記事は2024年11月時点の情報に基づいています。

詳細は税理士や税務署にご確認ください。

 

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■参考

脳血管疾患の患者数はどれくらい?|リスクに備えるための生活設計|ひと目でわかる生活設計情報|公益財団法人 生命保険文化センター

0000198760.pdf 厚生労働省事業場における治療と職業生活の両立支援のための ガイドライン 参考資料 脳卒中に関する留意事項

最近公表の統計資料|厚生労働省

令和6年(2024)人口動態統計月報年計(概数)の概況|厚生労働省

広報誌「厚生労働」2024年10月号 連載|厚生労働省