がんとともに働く。就業支援は“個人”ではなく“職場”の課題に。

こんにちは、野菜は死んでも食べない!と思っていたのに、息子には「一口でいいから」と真顔で迫って互いに不機嫌になるユナイトnote編集部です。
昔も今も戦っています。
さて、今日のテーマは「がんと就業不能」についてです。
「がん=もう終わり」の時代ではなくなりました。
今は、治療しながら働く人もたくさんいます。
でも──
「昨日は出社できたのに、今日は朝から起き上がれない。」
「時短勤務で同僚に申し訳なくて、自分を責める。」
「がんになったけど、元気そうじゃん」かなり無理していてぎりぎり。
がんと就労には、「説明しづらいグレー」が確かに存在しています。
働ける。でも、働けない日もある。それが、がんという病です。
「がん=人生の終わり」ではなくなった時代
かつて「がん」と聞けば、人生の終焉を思い浮かべる時代がありました。
しかし今は違います。
治療技術の進歩とともに、“治る可能性のある病”として認識され、入院は短く、通院しながら治療を続けるスタイルが主流になってきました。
つまり──
”仕事を辞めずに、日常生活を送りながら治療と付き合っていく。”
そんな時代になったのです。これは希望です。
けれど、その希望の裏にある“現実”についても、少し立ち止まって考える必要があります。
「がん=就業不能」ではないけれど、「フル稼働」はできない
がんになっても働ける。
これは間違いではありません。実際、働きながら治療を続けている方も多くいらっしゃいます。
でも、”働ける”ことと”以前と同じように働ける”ことは別物です。
がん治療の現実は、100か0ではなく“ゆらぎ”のある世界。
• 働ける日もあれば、働けない日もある
• 頑張れる週もあれば、突然力尽きる週もある
この“波”や“ゆらぎ”が、本人にとっても、職場にとっても大きな負担となります。
就業不能は“グラデーション”で訪れる
制度や保険の世界では、就業不能とは「〇日間働けなかったら給付」といった明確な線引きがあります。
けれども、現実はそんなに単純ではありません。
たとえば──
• 午前中だけ出社できる。でも午後は体力がもたない
• 会議やリモート業務は可能。でも現場作業は無理
• 短時間勤務は可能。でもフルタイムは困難
こうした“中間”の状態は、制度では測れません。また、周囲にしわ寄せがいくこともあり、全体のモチベーションが下がることも考えられます。
「がん」から「精神疾患」になることも
もう一つ、見過ごされがちな現実があります。
それは、がんと診断されたことで、精神的な不調を発症するケースです。
• 周囲の前では元気に振る舞うけれど、一人になると涙が止まらない
• 「周りに迷惑をかけているのでは」と思い詰める
• 「以前のように働けない」ことへの自己否定
• 抗がん剤など治療による気分の落ち込みや不安定さ
がんによる“身体のダメージ”だけでなく、心理的・社会的な負荷が重なり、精神疾患へとつながることもあるのです。
備えるべきは「完全な停止」ではなく「不安定な日々」
これからの時代に必要なのは、「完全に働けない状態」への備えだけではありません。
むしろ、こんな状態への対応が求められています。
• 働けるけど、いつ崩れるかわからない
• 休みたいけど、休めない
• 全部は無理でも、一部の業務ならできる
こうした“グラデーション状の就業不能”に向き合える職場や制度、そして社会的な理解が必要です。
まとめ:がんは「すぐ復帰できる病」でもない
少し不安をあおるような話になってしまったかもしれませんが──
実際には、「がんから復帰後、仕事に支障はなかった」という方も多くいます。
ただし、それは「すべてのケースに当てはまる」わけではありません。
がんは“治る”病になりつつありますが、“すぐ元通りに戻れる”病とは限りません。「がんになったら即戦力外」「もう大丈夫だからフルタイム復帰」という極端な思い込みは危険です。
本人の体調と働き方のバランス、と同時に職場のバランスをどう取るか。
経営者には、ますます難しいかじ取りが迫られる時代なのかもしれません。
お忙しい中、最後までお読みいただきありがとうございました。
※注意点
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• 本記事は2024年11月時点の情報に基づいています。
• 詳細は税理士や税務署にご確認ください。
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■参考
・治療と仕事の両立について|厚生労働省
・平成29年度治療と職業⽣活の両⽴に関する実態・ニーズ調査事業報告書/厚生労働省委託事業