2025.04.25 保険知識

会社員・経営者の『傷病手当金』、実は精神疾患での受給が最多

会社員・経営者の『傷病手当金』、実は精神疾患での受給が最多

こんにちは、痛みにも数字にも弱いユナイトnote編集部です。

 今回はちょっとがんばってデータを取り上げてみました。

 突然の病気やケガで働けなくなったとき、会社員や経営者が加入している健康保険から給付される制度に「傷病手当金」があります。ざっくりいうと、病気やケガで働けなくなった際に、最大1年6か月、標準報酬日額の約2/3が支給される制度です(※条件あり)。たとえば、月給30万円の方が対象になると、月額20万円前後が支給されるイメージです。
傷病手当金の詳細を調べたい方はこちらの弊社記事もどうぞ

働けなくなったら?傷病手当金や就業不能保険で生活費をサポート

 今回は全国健康保険協会管掌健康保険の令和5年のデータの中から一部を抜粋してみてみます。

実際に傷病手当金をもらう人ってどんな人?

 「実際、どんな病気やケガで支給されるケースが多いの?」

という疑問、ありますよね。

データをもとに、受給理由の傾向を見てみます。

各年代の上位3つを取り上げます。なお、多目的コード(SARDSや新型コロナなど)や10歳代は除いています。

【受給の実態】実際にはどんな理由で支給されている?

年代別の傾向を見てみましょう。

20〜30代:精神疾患が過半数

• 20代〜30代前半では、「うつ病」「適応障害」などの精神疾患が50%以上。

• 女性では「妊娠・出産」も受給理由として多い傾向。

40〜50代:精神疾患+整形・がん

• 精神疾患の割合は減少(およそ30~50%)するが、「がん(新生物)」や「筋骨格系疾患(腰痛など)」が増加。

60代〜:がん・循環器疾患が上位に

• 60歳以上では精神疾患が上位から消え、「新生物(がん)」や「高血圧・心疾患」などの循環器系疾患が増えてくる。

以下はより詳細な年代別データ

呼吸器系の疾患=肺炎やぜんそくなど

筋骨格系及び結合組織の疾患=腰痛や椎間板障害など

循環器系の疾患=高血圧性疾患や動脈硬化関連など

20~24歳

1. 精神及び行動の障害:54.56%

2. 妊娠、分娩及び産じょく:5.45%

3. 呼吸器系の疾患:3.34%

25~29歳

1. 精神及び行動の障害:55.53%

2. 妊娠、分娩及び産じょく:11.06%

3. 筋骨格系及び結合組織の疾患:2.64%

30~34歳

1. 精神及び行動の障害:51.77%

2. 妊娠、分娩及び産じょく:11.49%

3. 筋骨格系及び結合組織の疾患:3.45%

35~39歳

1. 精神及び行動の障害:49.55%

2. 妊娠、分娩及び産じょく:6.58%

3. 新生物:5.72%

40~44歳

1. 精神及び行動の障害:44.61%

2. 新生物:9.79%

3. 筋骨格系及び結合組織の疾患:6.35%

45~49歳

1. 精神及び行動の障害:37.25%

2. 新生物:13.96%

3. 筋骨格系及び結合組織の疾患:8.23%

50~54歳

1. 精神及び行動の障害:30.92%

2. 新生物:16.05%

3. 筋骨格系及び結合組織の疾患:10.00%

55~59歳

1. 精神及び行動の障害:23.85%

2. 新生物:19.57%

3. 筋骨格系及び結合組織の疾患:11.90%

60~64歳

1. 新生物:25.50%

2. 筋骨格系及び結合組織の疾患:14.18%

3. 循環器系の疾患:13.65%

65~69歳

1. 新生物:31.74%

2. 筋骨格系及び結合組織の疾患:14.78%

3. 循環器系の疾患:14.57%

70歳以上

1. 新生物:33.39%

2. 循環器系の疾患:16.87%

3. 筋骨格系及び結合組織の疾患:14.05%

統計情報 | 協会けんぽ | 全国健康保険協会 R5年度より

【受給金額・期間の平均】

年齢が上がるほど、平均受給日数や金額が増える傾向にあります。

• 30代:平均約29日、支給額16万円前後

• 50代:平均約31日、支給額20万円前後

• 60歳以降は、日数は増加するものの金額は下がります

以下はより詳細な年代別データ

• 20~24歳: 平均日数は 26.96日、平均金額は 125,936円

• 25~29歳: 平均日数は 28.75日、平均金額は 151,554円

• 30~34歳: 平均日数は 28.95日、平均金額は 161,086円

• 35~39歳: 平均日数は 29.10日、平均金額は 169,228円

• 40~44歳: 平均日数は 29.17日、平均金額は 175,796円

• 45~49歳: 平均日数は 29.43日、平均金額は 182,950円

• 50~54歳: 平均日数は 30.73日、平均金額は 192,066円

• 55~59歳: 平均日数は 31.85日、平均金額は 201,423円

• 60~64歳: 平均日数は 32.64日、平均金額は 192,285円

• 65~69歳: 平均日数は 34.34日、平均金額は 173,370円

• 70歳以上: 平均日数は 36.64日、平均金額は 172,179円

統計情報 | 協会けんぽ | 全国健康保険協会 R5年度より

ご自身の対策に生かすには?

ポイントは以下の3つ:

1. 制度の内容と支給実態を知っておく

 → 平均すると、1か月ほどで報酬の2/3が支払われる。

2. データはあくまで目安

 → ご自分の年齢や健康状態を考慮する。ただし特に精神疾患は誰にどのように起こるかは状況次第なところもある。

3. データをもとに想定してみる

 → この制度で十分か?生命保険の営業を受けたけれど自分に必要か?また補償内容などは自分に妥当と思えるか?

まとめ

• 傷病手当金は会社員・経営者の健康保険に付帯する制度で、病気やケガによる働けない期間を支えるもの。

• 精神疾患での需給が多く、30〜50代が特に注意したい年代

• 制度を知り、自分の備えと照らし合わせることで「いざというときの安心」につながります。

お忙しい中、最後までお読みいただきありがとうございました。

※注意点

• 記事内容の正誤に関わらず、読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。

• より正確な内容を知りたい場合は「■参考」などをご覧いただければと思います。

• 本記事は2024年11月時点の情報に基づいています。

• 詳細は税理士や税務署にご確認ください。

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■参考

統計情報 | 協会けんぽ | 全国健康保険協会